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漫画家 ✕ 原作者インタビュー
第1弾
『不運からの最強男』漫画家 中林ずん先生&原作者 フクフク先生へインタビュー!

最強の男に転生した主人公の成長と努力と絆を描く。続いて、原作者のフクフク先生に作品についてお話を伺いました。
原作 フクフク先生
WEBで公開していた作品が話題を呼び、本作『不運からの最強男』で作家デビュー。小説は3巻まで発売中で、4巻は3月28日(金)発売予定。
今回の「立読み歓迎!コラボプロジェクト」で、フクフク先生原作の『不運からの最強男』のまど上ポスターが東京メトロ全線に掲出されることになりました。この話が決まったとき、どのような気持ちでしたか?
東京メトロ全線で掲出、といったらものすごい規模ですよね! この作品に対する期待と関心の大きさを感じて、大変光栄に思いました。関西に住んでいるのですが、掲出がはじまったら見に行きたいと思っています。
このプロジェクトを機にさらに多くの人に作品が知られることになると思いますが、フクフク先生が最初に『不運からの最強男』を「小説家になろう」で公開した際も、反響が大きかったそうですね。
そうですね。公開から1週間もしないうちにランキングに入ってとても驚きました。どのような作品が流行っているのか、読者の心を掴んでいるのか、などにも注目しながらこの作品を書き始めたのですが、すぐに大きな反応があったので、ちょっとプレッシャーを感じることもありました。
公開からすぐに大きな反響がありノベライズと同時にコミカライズが決定した『不運からの最強男』。作画はどちらも中林ずん先生が担当。1つの作品を軸に小説と漫画それぞれの世界が楽しめるのも、コミカライズ作品ならでは。
どのようなプレッシャーですか?
まずは結末まで書き上げられるのか、というプレッシャーです。それと、この作品の結末はすでに決めているのですが、読者の方が本当にその結末を求めているのか、という迷いも出てきて「わあ、どうしよう」と悩んだことも何度もあります。
注目されるにつれて、作品を上げることがすごく怖くなった時期もあり、更新が停滞したこともありました。
どのようなきっかけで再開したのですか?
読者の方から「楽しみにしています」「書いてください」という励ましの声をたくさんいただいて、「ちゃんと結末を書かないと」と思ったのがきっかけですね。自分の中で何かが吹っ切れたんだと思います。
フクフク先生は以前から小説を書いていたのですか?
学生時代、友達に「何か書いてみたら?」と言われ少し書いてみたことはあったんですが、「作品を書こう!」と決めて書き始めたのは今回が初めてです。
本自体はよく読んでいたのですが、実はそれまでライトノベルは読んだことがなかったんです。「小説家になろう」のサイトを偶然見つけたときは、「こういう世界もあるんだ」とびっくりしました。「頭の中で考えすぎずに、私の素直な気持ちを表現してもいいんだ」という、気軽感、といったら変な言い方なんですが、それがきっかけで『不運からの最強男』を書き始めました。
作品のコミカライズが決まったときは、どう感じましたか?
感無量でした。泣いちゃったんですよね、嬉しくて。今でもその時の気持ちを思い出すと涙が出るほどです。
7巻までコミカライズされていますが、読んでみていかがでしたか?
「すごいなぁ」という感想です。私が言葉で表せない部分を、中林先生の絵ですごく細かく表現していただいていて、本当に嬉しいですし感謝しています。コミカライズ版に関しては、中林先生の作品だと思っています。
『不運からの最強男』の見どころはどんなところでしょうか?
不運な人生のすえ、事故によって転生したジークベルトの物語です。ジークベルトがどのように困難を乗り越えて強くなっていくのか……。彼の成長過程がこの作品の見どころだと思っています。あとは、物語の中で描かれる世界観や、異世界ならではのユニークな設定にもこだわっています。
チート能力を得て転生し、ジークベルトとしての人生を歩み始める主人公。規格外の魔力とスキルをもっているが、生まれたばかりの赤ん坊からスタート。多くの人に支えられながら成長していくことになる。


家族の絆が感じられる温かい作品、という評価も多いようですね。
私の中であまり意識はしていなかったのですが、読者の皆さんにはよく「家族愛」と言われます。もちろん家族の絆を大切に書きたいという思いはありましたが、そこが注目されるのは意外でした。
作品の中で共感できるキャラクターはいますか?
難しい質問ですね……。すべてのキャラクターに魅力や個性があって、彼らの成長や葛藤を書くことに楽しさを感じているので、共感できるキャラクターといわれると思いつかないんですよね。
では、好きなキャラクターは?
これは公言しています。主人公ジークベルトの兄・テオバルトがいちばんお気に入りのキャラクターです。なんともいえない不憫さがあるところが好きですね。叔父のヴィリバルトとのやりとりを書くのもすごく楽しいです。
表現するのが難しいキャラクターはいますか?
ずばり、ヴィリバルトです。物語に大きな影響を与えるキャラクターなんですが、内面をどう書くか、どこまで書くか、いつも悩んでいます。繊細なキャラクターでもあるので、彼の複雑な感情を読者の方に伝えるために、細かい心理描写には特に気を使っています。
フクフク先生にとっても表現するのが難しいキャラクターであるヴィリバルトとお気に入りのテオバルト。彼らもまた、ジークベルトとともに成長していく。


作品を作っていく中で、大変だと思うことはありますか?
私の中にあるキャラクターを読者のみなさんにどう伝えるか、という部分にとても苦労しています。語彙力がないので十分に書けていない部分もあるんですが、キャラクターの内面など繊細なところに関しては、「ここまで書いていいのか」「読者に伝えていいのか」、今後のことやキャラクターのことを考えると「やはりここまで書いちゃダメだよね」など、本当に複雑な心境があります。
反対に楽しいと感じるのはどのようなときですか?
キャラクターが私の中で勝手に動いてくれるときに楽しさを感じます。キャラクター同士のやりとりであったり絡みであったり、あくまで私の脳内での話なので、読者の方には見えないんですけど……。エスタニア王国編に入ってからは苦しい場面が多く、気持ちが沈んでしまうこともあるのですが、ジークたちが仲間内でキャッキャしたりジャレ合ったりしているのを想像しながら楽しく書いています。
小説家として、作品づくりで心がけていることはありますか?
一人ひとりのキャラクターにしっかりした背景や個性を持たせて、読者の方に感情移入をしていただく、というのがひとつ。それから、リアリティーのある世界観になるよう細部までこだわって、読者の方にその世界に没入していただく、ということを心がけています。
最後に、これから作品を読む方へ、メッセージをお願いします。
主人公ジークベルトが直面する試練や成長過程での葛藤は、多くの人に共感してもらえるのではないかなと思っています。また、彼の周りにいる個性豊かなキャラクターや、彼らの織りなすドラマも魅力の一つだと思います。
作品を通して私が伝えたいと思っていることは、努力したらなんでもできるんだよ、ということです。もちろん努力の先には失敗も成功もあるんですが、努力したことできっと何かが掴めると思うんですね。なので、ジークベルトの成長過程を見て、頑張っていこうと思っていただけたら嬉しいなと思います!
フクフク先生、ありがとうございました!