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漫画家 ✕ 原作者インタビュー
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『鬼の花嫁』漫画家 富樫じゅん先生&原作者 クレハ先生へインタビュー!

『鬼の花嫁』

多くの読者の心を引き付ける和風シンデレラストーリーを生み出す富樫先生とクレハ先生。インタビュー後半ではコミカライズの制作についてお話を伺います。

後半もよろしくお願いします。まずは作品をつくっていて表現に難しさを感じるキャラクターがいたら教えてください。

クレハ

何気に玲夜がちょっと難しいですね。ちゃんとかっこよく書かなければならないんですが、たまに少し弱いところも見せつつ……。でもちゃんとヒーローであり柚子を支える存在として、スパダリというんですかね、そんな感じで書かないといけないので、どう表現しようかと悩むことがあります。

富 樫

私は柚子ですね。愛情を受けないで育ってきた普通の女の子が、玲夜と出会って愛されることを知って少しずつ心を開いて成長していく。その過程を矛盾が生じないようにていねいに描きたいと思って、表現に気を使っています。

クレハ

柚子の心情のさじ加減は私も苦労しました。1巻で玲夜に心を開いて少し強くなったけど、2巻でまたちょっと弱い柚子に戻って。ちょっと進んではちょっと戻るというのを繰り返しながら、少しずつ強くなっていく柚子を表現するのが大変でした。

キャラクターの心境が少しずつ変わっていく様子は読者にとっても読み応えがあるところだと思います。柚子だけでなく、玲夜の心の変化も見どころですよね。

富 樫

そうですね。玲夜の変化にもめちゃくちゃ気を使っています。表情や手の仕草、柚子への手の差し出し方ひとつとっても、少しずつ親密になるように意識しています。

物語の進展に合わせて、二人の表情や仕草などにも少しずつ変化が。柚子と玲夜の心境の変化はセリフだけでなく、細かな表現の中にも込められている。

『鬼の花嫁』
『鬼の花嫁』

クレハ先生がコミックでお気に入りのシーンは?

クレハ

『鬼花』はここから始まった、という、柚子と玲夜の出会いのシーンがいちばん思い出深くて好きなシーンです。富樫先生にコミカライズしていただいたこのシーンの玲夜の顔が、もう本当に好きで……。

富 樫

ありがとうございます!

クレハ

優しげな玲夜の表情が本当に好きで、とても印象に残っています。

クレハ先生のイメージ通りに描いていただいたんですね。

クレハ

はい、想像通り……というか、想像以上です!

クレハ先生にも大好評のコミック版ですが、作画で苦労していることはありますか?

富 樫

作画カロリーが高いんです、この作品は……(笑)。着物もそうですし、キャラも多いですし、やはりあやかしなので華やかに美しく描かなければ説得力が出ないので、作画はいつも大変です。描いていて楽しいですけどね! 普通の作品よりは、時間がかかります(笑)。

クレハ

申し訳ございません……!(笑)

富 樫

がんばります!

富樫先生は、コミカライズをどのようなプロセスで進めていくのですか?

富 樫

いったん自分の中に完全に入れないと出力できないと思っているので、まずは原作を読み込んで、それから、自分のオリジナル作品を描くような気持ちで描いています。その方が結果的にキャラがよく動いてくれますね。

漫画の構想ができあがったらクレハ先生が確認する、といった感じでしょうか。

富 樫

ネームというのですが、絵コンテ的なものを最初に作ります。それをクレハ先生に見ていただいて、OKが出たら実際に漫画を描いていきます。

クレハ

富樫先生はネームづくりがすごくうまいんですよ!分かりやすくてきれいなんです。

富 樫

ありがとうございます!漫画はネームが全てだと思っています。そこで面白くないと絵をいくらきれいに描いても魅力的にはならないので、毎回ネームから頑張ってつくっています。

コミックでは、クレハ先生の書き下ろし小説も収録されていますが、どのように作られていくのでしょうか?

クレハ

コミックの内容と連動するようにつくっています。『本編の裏側ではこんなことも起きています』という感じで。
他にも、柚子が大学へ進学する話が収録されている4巻の特装版には小冊子がつくのですが、そこでは鬼の花嫁である柚子が入学してくることに戦々恐々とする教師たちのお話を書いています。
最新刊となる7巻では「このキャラでいこう」って富樫先生とも相談して内容を決めました。

富 樫

ちょっと打ち合わせが必要なネタだったんですよね。

クレハ

そうなんです。だから「ここをこういう風に書きたいんですけど」ってお伝えして。

富 樫

「じゃあこうしておきます!」みたいな感じで決まっていきました。

原作小説、コミック、描き下ろし小説と、見どころ満載の『鬼花』。新しいあやかしとその花嫁、陰陽師などの新キャラクターも続々と登場。ファンには嬉しいグッズも展開されている。

『鬼の花嫁』
『鬼の花嫁』

息がピッタリなクレハ先生と富樫先生ですが、小説家と漫画家、それぞれ逆のお仕事をしてみたいと思いますか?

クレハ

もちろんです。もともと絵を描くのが好きだったので描けるなら描きたいのですが、画力が小学生……幼稚園児で止まっておりまして(笑)。
ちょうど電子書籍の方で小説3巻から新しく登場するキャラクターの絵を描いて説明しようとしたら、とんでもないことになり……。ですが、富樫先生がちゃんと意図をくみ取ってくださって、しっかりとしたキャラにしてくれました。

富 樫

小説家に憧れはありますけど、やはり漫画家なので、絵とセットで物語が浮かんでくるんですよね。小説家の方は文章だけですべてを表現していてすごいなと思います。語彙力がほしいです。

クレハ

私は画力がほしいです……!

ちなみに先生たちは小説や漫画のアイデアはどんな時に浮かんできますか?

クレハ

締め切りが迫って切羽詰まっているときに限って浮かんだりします。あとはリラックスしているときですね。「あっ」って感じで。

富 樫

私はお風呂の中で浮かびますね。物語の構成などで悩んでいるときに、とりあえずお風呂に入ると、いいアイデアを思いつくことがあります。脳がリラックスするんですかね?

クレハ

なんでしょうかね! 周りに雑音もないしすごくリラックスして、ボーッとしているときに……

富 樫

そう、ぼーっとしてる時に浮かびますよね。「あっ、そうか!」みたいな感じで。

クレハ

でもお風呂の中だと書くものがないので、湯気でガラスが曇っているところに書いたりします。

富 樫

私も書きます!ちょっとメモ……って感覚で。

お風呂でとったメモ書きは無事でしたか?

クレハ

書くことでひとまず頭の中に残しておくって感じなので大丈夫です!

富 樫

そうそう、書いてインプットされるみたいな!

先生たちの意外な共通点が見つかりましたね!

クレハ

そうですよね!

富 樫

同じですね!

クレハ

まさかの!

大いに盛り上がったところですが、そろそろ最後の質問です。今回の「立読み歓迎! コラボプロジェクト」をきっかけに、これから初めて『鬼の花嫁』を読む方に向けて、メッセージをお願いします。

クレハ

まど上ポスターを見ていただいたのも何かのご縁だと思うので、まずは最初の1ページ、読んでいただけたら嬉しいなと思います。

富 樫

ときめきがあり、ハラハラもあり、とても素敵な物語です。読んだあとに、ほっと幸せな気持ちになれる作品だなと思っています。ぜひ、たくさんの皆さまに読んでいただけたら嬉しいです。

『鬼の花嫁』

富樫じゅん先生、クレハ先生、ありがとうございました!

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